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ワンポイントアドバイス

インプラント治療編

60代男性。
長年の不摂生がたたってついに義歯が必要と言われました。最近、インプラント治療の 看板を掲げる歯科医院が増えています。これはどんな治療なのでしょうか?
 インプラントとは、体内に埋め込む医療機器や材料の総称ですが、歯科では歯が抜けた部分のあごの骨に人工歯根を埋め込んであごの骨と結合さえ、それを土台に人工の歯を装着する一連の治療法のことを言います。
 歯科インプラントは一般的にあごの骨に埋め込む歯根の部分にあたる「フィクスチャー」(インプラント体、人工歯根)、粘膜の上に出る「上部構造」(人工歯)、そして2つをつなぐ「アバットメント」と呼ばれる3つの部品からできています。なかでもフィクスチャーは骨となじんで結合しやすい金属のチタンが使われ、スクリュー形状をしています(下記インプラント図表を参照して下さい)。
 失った歯の治療法としては、従来のブリッジと入れ歯、そしてインプラントの3つの選択肢があります。利点と留意点は下記インプラント図表を参考にして下さい。


 インプラント治療は外科処置を伴うため、希望されたどなたでも受けることが出来る治療法ではありません。循環器疾患、肝臓や腎臓の疾患、糖尿病や骨粗しょう症の疾患がある場合には注意が必要です。服用されている薬によってはインプラント治療が適さないこともあります。また、インプラント埋入予定部位に十分な骨が存在しない場合には、インプラント治療を行うことが困難になります。このように全身状態の検査と口の中の十分な検査を受けて出来ることが確認されてからの治療となります。
 以前にはインプラント治療を受けると第2の永久歯を得ることができるような錯覚を持たれましたが、3年ほど前に一部の問題事例に対するテレビ等の報道で、インプラント治療すべてに問題があるかのように誤って受け取られました。風評に惑わされることなく正しい知識を持って、主治医から十分な説明を受け、納得した上で治療を受けていただきたいと思います。
 最後に、歯を失わないことが何よりも大切です。毎日の丁寧なブラッシングと歯科医院での定期健診を受けましょう。
従来の治療方法とインプラント治療の比較
従来の治療方法
ブリッジ
良い点
・両隣の歯に固定するので、違和感が少ない
・保険を適用して治療することもできる
・自由診療で治療する場合には天然の歯とほとんど変わらない審美性
留意点
・ブリッジを支えるため、健康な場合でも両隣の歯を削ることが必要
・ブリッジと歯肉の間に食べ物が残り、不衛生になりやすい
・支えになる歯に負担がかかるので、将来的にその歯を失う可能性もある
・大きな欠損では対応できないこともある
入れ歯
良い点
・ブリッジで対応できない大きな欠損でも処置できる
・比較的簡単な治療で済み、治療費も安い
・歯を削らないで作ることができる
留意点
・取り外して手入れする手間がかかる
・バネによる隣りの歯への負担が大きい
・食べ物がつまりやすく、口の中が不衛生になりやすい
・ガタつきや発音しづらいなどの違和感を感じやすい
・固い食べ物が噛みにくくなる場合がある
インプラント
良い点
・天然の歯と見劣りしない高い審美性
・天然の歯と同様の感覚で噛め、違和感がほとんどない
・周囲の歯を傷つける心配がない
・あごの骨に力が加わるため、あごの骨がやせるのを防げる
留意点
・少し難しい抜歯と同程度の手術が必要
・保険が適用されないので入れ歯やブリッジに比べて治療費が高額
・治療期間が長い
・診査の結果により、インプラント治療を施せない場合がある