2016/05/31
男鹿潟上南秋医師会報に掲載された記事をご紹介します。 『インプラントについて』 インプラントとは、体内に埋め込む医療機器や材料の総称ですが、歯科では歯が抜けた部分のあごの骨に人工歯根を埋め込んであごの骨と結合させ、それを土台に人工の歯を装着する一連の治療法のことを言います。 歯科インプラントは一般的にあごの骨に埋め込む歯根の部分にあたる「フィクスチャー」(インプラント体、人工歯根)、粘膜の上に出る「上部構造」(人工歯)、そして2つをつなぐ「アバットメント」と呼ばれる3つの部品からできています。なかでもフィクスチャーは骨となじんで結合しやすい金属のチタンが使われ、スクリュー形状をしています。(インプラントの図を参照してください) 失った歯の治療法としては、従来の治療方法であるブリッジと入れ歯、そしてインプラントの3つの選択肢があります。利点と留意点を表にしましたので参考にして下さい。 インプラント治療は外科処置を伴うため、希望されたどなたでも受けることが出来る治療法ではありません。循環器疾患、肝臓や腎臓の疾患、糖尿病や骨粗しょう症の疾患がある場合には注意が必要です。服用されている薬によってはインプラント治療が適さないこともあります。また、インプラント埋入予定部位に十分な骨が存在しない場合には、インプラント治療を行うことが困難になります。このように全身状態の検査と口の中の十分な検査を受けて出来ることが確認されてからの治療となります。 以前にはインプラント治療を受けると第2の永久歯を得ることができるような錯覚を持たれましたが、3年ほど前に一部の問題事例に対するテレビ等の報道でインプラント治療すべてに問題があるかのように誤って受け取られました。風評に惑わされることなく正しい知識を持って、主治医から十分な説明を受け、納得した上で治療を受けていただきたいと思います。 最後に、歯を失わないことが何よりも大切です。毎日の丁寧なブラッシングと歯科医院での定期健診を受けましょう。