親知らず抜くべき?抜かぬべき?
2020/10/20
親知らずは抜かなきゃダメ?
親知らずは前歯から数えて8番目に生えてくる歯のことです。別名18 歳臼歯と呼ばれ、18 歳から20 歳の頃に生えてきます。
「親知らずは抜かないとダメですか?」とよく聞かれます。どの歯でもそうですが、抜歯するには審査・診断、要するに理由がいります。
上下・左右の4 本がまっすぐキレイに生えそろい、しっかり噛み合っている場合で、特に痛みがないのなら無理に抜かなくても大丈夫です。
真横に向かって生えている場合でも、急いで歯を抜く必要はありませんが、うまく生えてきていない親知らず(埋まっている、歯茎が覆いかぶさっている、斜めや横向きに生えているなど)は、まっすぐ生えている場合よりもトラブルを起こしやすい状態ではありますが、もし現段階で痛みや腫れがない場合、ひとまず抜かないでも大丈夫です。使える間は使い続けることも。
歯ブラシがしっかりできているかどうかも非常に重要なポイントです。斜めを向いていたとしても、しっかり歯ブラシができていれば必ずしも抜く必要はありませんが、真っすぐ生えていても歯ブラシが全然届いていなければ、虫歯や歯周病リスクが高まるので抜かなければならないこともあります。
奥歯の奥まで磨く感覚を身に付け、しっかり歯ブラシしましょう。ワンタフトブラシなど奥歯の奥を磨きやすい歯ブラシを使うのも効果的です。
親知らずを抜かない方がいい場合
・きれいに生えているので、歯磨きもしっかりできている
・一部だけ生えているだけで、他の歯に影響していない
・完全に骨の中に埋まっているので、当面、問題はない
・腫れがない
・違和感がない
・身体の状態(他の病気など)との関係で抜かない方がいい
・このほか、矯正の移植に利用できる、ブリッジの支台歯として利用できるといった場合もあります
希に、親知らずを歯のない部位に移植することが可能な場合があります。いろいろな条件が必要ですが、い ずれダメになるかもしれない奥歯の代用品として親知らずを抜かず残している方もいます。歯の移植は保険治療として認められています。
糖尿病や骨粗鬆症などが高度に進行している場合は、親知らずを抜かない方がいい場合もあります。
腫れや痛みが出た場合は、薬で症状を緩和しながらできるだけ現状維持を試みます。
親知らずを抜いたほうがいい場合
・親知らずの周囲の歯茎が腫れたことがある
・親知らずの一つ前の歯が虫歯になっている
・歯ぐきに埋まっているが一つ前の歯の歯周ポケットから親知らずが触れる
・歯ぐきに埋まっているがレントゲン上で膿の袋がある
・前歯が重なるなど歯並びが乱れている場合
※ いずれも医師の意見をよく聞いてから結論を出しましょう
親知らずが痛んだり腫れたりするのは、主な場合は虫歯か、細菌による感染です。虫歯の場合は、親知らずの一部、または全部が生えており、そこが虫歯になることで痛みが出てきます。
細菌による感染の場合2通り考えられます。一つは、親知らずの周りの歯茎に感染してしまい腫れて痛みが出る場合です。これは、親知らずが歯茎の上に顔を出していればもちろん可能性がありますが、歯茎の上に出ていなくても、骨に完全に埋まっておらず、歯茎の中に隠れている場合でも可能性があります。もう一つは、細菌による感染を繰り返して、歯の周り、骨の中に膿を作ってしまう場合にも腫れたり痛みが出たりしてきます。
抜歯した歯はかえってこないので、抜く理由、リスクをしっかりと説明してもらい、納得いく形での処置をしてもらうようにしましょう。