ドライマウスの恐ろしさ
2022/07/29
ドライマウスって?
ドライマウスとは、さまざまな原因から唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥する病気です。
一時的な口の乾きとは違い、ドライマウスは口の中が乾燥した状態が続きます。別名、口腔乾燥症ともいいます。口の中が激しく乾く、口の中がネバネバする。乾いたのもが食べにくい、口臭が気になる..など感じたことはありませんか?
唾液は1日あたり、1〜1.5リットルほどの量が分泌されています。しかし、唾液の分泌量は年齢とともに減少し70代ではそれまでの半分以下になると言われています。年齢以外の要因としては、糖尿病や腎不全などの病気を介して起こることもあれば、ストレスや筋力の低下、さらには薬剤の副作用などがあげられます。複数の原因が重なってより重症化することもよく見られます。
ドライマウスの原因や症状は?
ドライマウスの主な原因はさまざまありますが、特に多いのは加齢です。加齢によって唾液を分泌する唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減ってしまいます。
ドライマウスは若年層よりも高年層に多く見られる疾患で、高齢化社会の今、ドライマウス患者も増えています。高齢者の場合は、食べ物をスムーズに飲み込めなくなり、気道に誤って入ってしまい誤嚥性肺炎を引き起こす原因になります。誤嚥性肺炎は高齢者の死因として非常に大きな割合を占めているため注意が必要です。
そのほか、生活習慣も大きく関係しています。現代のストレス社会は人々に緊張をもたらし、そのため喉の渇きを訴える人が増えています。また、食生活がやわらかい食べ物中心となり、かむ回数が減り、唾液の分泌も減ってしまいます。唾液の分泌が減少し、常に口の中が乾くドライマウス状態になると口内環境が悪化し常在菌が増殖するので、虫歯や口内炎、歯周病にもなりやすくなります。
また、口の中がネバネバしたり、舌のひび割れや痛み、口臭の悪化、摂食障害、味覚障害、発音障害などが現れることがあります。
実はすごい!唾液のチカラ
口腔のみならず身体が正常な機能を発揮するために、唾液は無くてはならない存在です。唾液にはいろいろな働きがあります。
①口内の保護
唾液が膜となって、歯や歯ぐき、頬の内側を刺激から守ってくれます。
②洗浄作用
食べかすなどを洗い流し、口の中をきれいにしてくれます。
③潤滑作用
歯ぐきや舌などの粘膜を潤して保護し、発声や咀嚼、飲み込みをスムーズにしてくれます。
④消化作用・快適な食事
唾液に含まれるアミラーゼという酵素が食べ物を消化してくれます。また、食べ物に含まれるデンプンを分解 し糖に変えることで栄養素を吸収し、胃腸の負担を軽くします。お米が甘く感じるのも唾液の働きによるものです。唾液の水分と粘度が食べ物を咀嚼しやすく、飲み込みやすくしてくれます。
⑤緩衛作用
唾液には酸性に傾いた口内を中性に戻す働きがあります。口内を早く中性に戻すことで、歯が溶けて虫歯になるのを防いでくれます。
⑥再石灰化作用
口の中では日々「脱灰」と「再石灰化」を繰り返しています。
脱灰とは、虫歯菌が酸を出す影響で歯のカルシウムやリンが溶け出してしまう現象の事です。唾液が酸を中和し、カルシウムとリンを歯に補充し修復する働きがあります。これを再石灰化と言い、これらのバランスが保たれることで健康的な歯を維持することができます。
⑦組織修復
歯ブラシによる歯ぐきの傷や、口内の傷の修復を促してくれます。
このように唾液には上記のような働きをはじめ、唾液に含まれる成分が口内や全身の健康をサポートしてくれています。
ドライマウスの対策法
こまめな水分補給を心がけ、規則正しい生活を送りましょう。お茶やコーヒーなどのカフェインの摂りすぎに気を付けましょう。(カフェインを過剰に摂取すると水分が減少しドライマウスを招きます)
また、ドライマウスには唾液腺を刺激するマッサージが効果的です。
耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つを刺激して唾液の分泌を促します。【耳下腺】耳たぶの少し前から上の奥歯あたりを指全体で円を描くように優しくマッサージします。
【顎下腺】顎の骨の内側を耳下から顎の先まで優しく押し上げるようにマッサージします。
【舌下腺】顎の下のくぼみ、舌の付け根の真下部分を押し上げるように優しく親指でマッサージします。
※それぞれ10回ずつやってみて下さい。強く押しすぎず優しく刺激しましょう。食事前が理想的です。
唾液の分泌量は刺激を与えないと、どんどん低下していきます。口の渇きを覚え、生活の不便さえも感じるようになったらお早めにご相談ください。