2023/06/07
妊娠中は、女性ホルモンの影響で歯ぐきが赤くなったり、腫れたり、出血するなどの「妊娠関連(性)歯肉炎」になりやすいといわれています。妊娠中は「エストロゲン」「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンが血液中に多く存在し、これを歯周病菌の一部が栄養源にしていることから、菌が増殖して口の中で活発に活動します。そのため妊婦さんは、歯周病の初期症状である「歯肉炎」になりやすくなっています。
歯肉炎の主な症状
・ 歯をみがいた時などに出血しやすい
・ 色が赤くなっている
・ 腫れている
・ 歯と歯の間にある歯ぐきが、丸く厚みを持ってふくらんでいる
4つの項目のうち一つでも当てはまる場合は、歯肉炎になっている可能性が高いです。
歯肉炎をそのまま放っておくと悪化して歯周病が進行してしまうので、定期的に健診を受けて早めの治療やケアを受けることが大切になります。
子どもの歯が生え始めるのは生後6~8カ月頃ですが、歯のもとになる芽(歯胚)ができ始めるのは妊娠7~10週頃です。妊娠4~5カ月頃からは この歯の芽にカルシウムやリンがくっついて少しずつ硬い組織になり、歯の形を作っていきます。
一部の永久歯の芽も妊娠期から作られ始めます。
もともと生まれたばかりの赤ちゃんのお口に虫歯菌はいません。
ではなぜ、お子さんが虫歯になるのかというと、身近な大人から虫歯菌がうつってしまう「母子感染」が起こるからなのです。母子感染のルートとして挙げられるのが、食事のときにスプーンやコップを共有したりキスをしたりすること。食器を分け、スキンシップをやめればいいのですが、スキンシップに関しては難しいですよね。
そこで重要になるのが、お母さんがきちんと治療・予防に努め、お口から虫歯菌を減らしておくことなのです。
妊娠中はむし歯や歯周病になりやすくなっている上に、これらの初期症状に自分からは気づきにくいものです。つわりがおさまる4~5カ月頃に歯科健診を受けて、比較的体調の安定した妊娠中期に必要な歯科治療を済ませたいものです。
妊婦歯科健診
歯科治療に当たっては母子健康手帳を提示して、産婦人科医から注意を受けていることは必ず歯科医師に伝えましょう。楽な姿勢で治療を 受け、体調や気分が悪くなった時は遠慮なく申し出ましょう。
・エックス線撮影の胎児への影響
歯科治療で通常用いられるエックス線の放射線量はごくわずかです。お腹の赤ちゃんにはほとんど影響はありませんが、妊娠していることを伝えて防護用エプロンを着用するとさらに安心です。
・歯科治療時の麻酔の使用
通常の歯科治療に用いられる麻酔は局所麻酔で、使用量もわずかですし、局所で分解されるため、胎児には影響ありません。痛みを我慢しての治療は、母体にも胎児にもストレスになるため、安定期には適切に使用した方がよいかと思われます。
・薬物の服用
妊娠初期はできれば薬物の服用を避けたいものですが、中期以降の歯科治療で処方される薬剤は、妊娠中でも安全に使用できる薬剤が選ばれています。
赤ちゃんの歯科検診
多くの自治体で、1歳半と3歳ごろ、お子さまの発育健診が行われていると思います。歯は生後6~7ヵ月ごろから生えてきますが、個人差や離乳食の進み具合で、虫歯のリスクも違います。1歳半健診で歯科健診を受けるこの時期くらいには、前歯が生え揃い、奥歯が生え始めたくらい。奥歯は虫歯になりやすく、離乳食も完了する時期であることから、このころが虫歯のチェックが必要な時期の目安と考えてみてはいかがでしょうか。
妊娠中や出産後、赤ちゃんの歯の生え始めなど、気になることがあった場合には、お気軽に当院へご相談ください。また、赤ちゃんの成長に合わせてご一緒に定期健診でもご来院をお待ちしております。