2023/12/01
唾液には、食べやすくするだけでなく、私たちの口の中や体に様々な働きをしてくれています。
大人で1日に1000~1500mlほど分泌されるといわれています。
分泌量は1日の時間によって多い時、少ない時があります。食事の際は増え、睡眠時や緊張時などには減ります。
■唾液のはたらき
①消化作用(食べ物を消化する働き)
唾液に含まれている酵素(アミラーゼ)が、咀嚼によって食べ物と混ざり、食物に含まれるでんぷんを分解して、胃で消化されやすい状態にします。
②溶解作用(味を感じやすくする働き)
舌の味を感じる器官(味蕾)に唾液が味のもととなる物質を運ぶことで、食べ物の味を感じることができます。
かわいた舌の上に食塩をのせても塩味は感じないようです。
③洗浄作用(お口の中を洗いきれいにする働き)
1日1リットル以上も分泌される唾液は、口内細菌や食べ物のカスを洗い流す役割もあります。
口の中をきれいにして虫歯や口臭を防ぎます。
④殺菌・抗菌作用(細菌が入ってくるのを防ぐ働き)
リゾチーム、ペルオキシダーゼなどを含む唾液は、口内に侵入した細菌の活動を抑える働きをしてくれています。
⑤緩衝作用(お口の中を中和してくれる働き)
唾液に含まれる炭酸・重炭酸・リン酸などの成分は、口内のpHバランスが酸性・アルカリ性のどちらかに傾かないよう、調節してくれます。
⑥再石灰化作用(虫歯を防ぐ働き)
カルシウムイオン、フッ素イオン等を含む唾液は、歯のエナメル質の再石灰化を促してくれます。
これにより虫歯リスクを軽減しています。
⑦水分平衡作用(お口の中の水分を安定させる働き)
唾液の分泌は口内の水分量を調節する役割もあります。
ストレスや疲れ、加齢、薬の副作用など、ちょっとしたことで唾液の分泌量は減ってしまうこともあります。
日常生活の中でできる工夫を意識して行うことで、唾液の分泌を正常化させましょう。
●水分補給
まずは、十分な水分補給を心がけましょう。
少しずつこまめに摂ることがポイントです。
●よく噛む
よく噛んで刺激を与えましょう。
梅干し等すっぱいもの、またはガムなどを噛むことも効果的です。
●唾液腺マッサージ
耳下腺・顎下腺・舌下腺の唾液腺マッサージをすると、唾液の出る量が増え、口の渇きに効きます。
唾液の出にくい方は、食事の前に行うと効果的です
●舌を動かす
舌の体操などで、意識して舌を動かすと唾液の分泌が良くなります。
前後、左右、ねじり、回転させる運動など、発音しながら行ってみましょう。
●鼻呼吸
口呼吸は口の中が乾いてしまうため、鼻呼吸を意識しましょう。
唾液にはインフルエンザなど病原体から私たちを守ってくれる働きがあります。
乳酸菌をはじめ、良い口内細菌を保つために、キチンとした口腔ケアが必要です。
口臭や虫歯予防はもちろん、風邪やインフルエンザ予防のためにも、口腔環境を整えることを意識しましょう。
パンやサツマイモなどが食べにくいと感じることはありませんか。
唾液が少ないと、食べ物がまとまりにくく、噛み砕いたものを飲み込みやすい状態にまとめることができません。
食べ物の「味」そのものにも影響します。唾液の量など、気になる方はお気軽にご相談くださいませ。