予防歯科

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一人ひとりにあった「予防歯科」の実践を

歯や口の健康を守るために大切なのは、虫歯や歯周病になる前に、歯科医院での「プロケア」と毎日の「セルフケア」を継続して行う「予防歯科」。正しく実践するためにはどうすればいいか、Q&Aでご説明します。

予防歯科実践のポイント

Q&A

Q. 歯みがきしていれば心配ないですよね?

A.

 実は約8割の人にみがき残しが!20・30代は特に注意。
 毎日きちんと歯をみがいているから自分は大丈夫-。そんな思い込みをしていませんか?「歯みがきに自信がある」と回答した100人を対象にした調査によると、約8割もの人は、歯と歯ぐきの間にみがき残しがあることがわかりました(図1)。
 年代別にみると、20・30代が最もみがけていません(図2)。ちなみに、20代は成人のなかで歯科受診率が最も低いこともわかっています(厚生労働省「平成23年患者調査の概況」)。
 自分でしっかりケアしているつもりでも、実は不十分である場合が多いのです。

参考図

Q. みがき残しの多い箇所はどこ?

A.

 歯と歯の間など歯ブラシが届きにくい部分です。
 とくに歯垢(プラーク)が残りやすいのは、「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」「奥歯の奥」などです(図3)。
 また、「歯並びの悪いところ」、とくに歯が重なって生えている「叢生(そうせい)」の部分は要注意。最近は歯並びの悪い人が多く、日本人の約4割に叢生があります(厚生労働省「平成23年歯科疾患実態調査」)。歯ブラシが届きにくい箇所を把握してケアすることが大切です。

参考図

Q. 痛みなどがない場合、自己流ケアでOK?

A.

 歯科医院での定期的なチェックも欠かせません。
 毎日のセルフケアだけでは、むし歯や歯周病の原因となる歯垢を完全に取り除くことや歯石を除去することは困難です。
 正しい「予防歯科」とは、日々の「セルフケア」と歯科医院での定期的な「プロケア」の両方を組み合わせて実施するもの。年に2回は歯科医院で歯と口の状態をチェックし、セルフケアでは落とせない汚れの除去や予防処置、セルフケアの指導を受けるようにしましょう。

Q. 毎日のケアで気をつけることは?

A.

 フッ素配合のハミガキを使用。すすぎは少量の水で。
 むし歯の発生と進行を防ぐためには、「フッ素を口の中に残す」ことがとても大切です。ハミガキの多くに含まれるフッ素には、①エナメル質を修復する再石灰化を促進する②酸に溶けにくい強い歯にする③むし歯の原因菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑える、などの働きがあり、歯の健康を守ってくれるのです。
 ハミガキはフッ素(フッ化物)配合の物を使い、すすぎは少量の水で回数も少なめにしましょう。何度もすすぐと口内に残るフッ素の量が減ってしまいます。

Q. みがき残しが気になるときは?

A.

 ワンタフトブラシやデンタルフロスの使用がおすすめです。
 ハブラシと共に、歯の状態にあわせたアイテムを活用しましょう。
 例えば、部分みがき用の「ワンタフトブラシ」なら、ハブラシの毛先が届きにくい箇所の歯垢もピンポイントで除去できます。歯間の汚れには「デンタルフロス」を、すき間の広い部分には「歯間ブラシ」を使うと効果的です。
 また、就寝中は、むし歯の原因となる細菌が最も増殖しやすい時間帯です。寝る前には、原因菌の増殖を抑える作用のある「デンタルリンス」を使うことを習慣にしましょう。
 なお、歯や口の状態は人それぞれ違うので、アイテムの選び方や使い方は歯科医院で相談を。一人ひとりにあった「予防歯科」を今日から実践しましょう。


    

歯みがきの方法

虫歯や歯周病は歯垢(食べカスではなく、最近の塊)が原因でおこります。
厚生省の調査では、98%の人が歯をみがいています。それでも虫歯や歯周病がなくなりません。実はみがいていてもみがけていないからなのです。それでは歯のみがき方の要点を説明します。

◆歯ブラシの選択について

歯ブラシ選択

◆歯ブラシの取り替えの時期

歯ブラシ取替時期

歯ブラシの背の方から見て開いた毛が見えたら交換の時期です。

◆歯磨き剤について

歯磨き剤について

量をたくさんつけすぎると、歯の表面を傷つけたり、口の中が泡だらけになりていねいにみがくことができなくなります。適量は毛の部分の4文緒1ぐらいです。また、フッ素入りの歯磨き剤を使いましょう。

◆歯ブラシの動かし方

歯に垂直に歯ブラシを当てて5mm程度の小さな振動で磨きます。あまり大きく動かすと、歯と歯の間の汚れが取れないばかりか、歯や歯肉を痛めてしまいます。
歯ブラシの動かし方

◆ブラッシングの力について

ブラッシングの力について

歯ブラシは鉛筆を持つ要領でにぎり、約100gの力(歯ブラシの毛を指で押して毛先の皮膚が白くなる程度)でみがきます。歯ブラシの毛先が1ヶ月以内に広がるのは力の入れすぎです。

◆ブラッシングの回数と時間

可能な限り1日3回、毎食後行います。時間は通常5分はかかり、3分間は最小限必要です。

 以上歯みがきの方法について簡単に説明しました。
 不明な点、わかりづらい点がありましたらおたずね下さい。
 歯垢は、虫歯や歯周病の原因だけでなく、肺炎・心臓病・腎臓病・糖尿病・早産などにも関連していることが報告されています。丁寧な歯みがきにより、口の中を清潔にして全身の健康を守りましょう。
 当クリニックでは、実際に歯の汚れを染め出して磨き残しがないことを確認していただくことをお勧めします。
 院長もしくはスタッフにその旨申しつけ下さい。

当院で販売している歯ブラシについて

当院では下記の歯ブラシを販売しています。

バトラー 311, 211 / 定番のハブラシ

P H B / 少し柔らかい毛でキャップ付き

ルシェログラッポ / 大きめヘッドと握りやすいハンドル

テペセレクトコンパクト / 少し大きいヘッドで使いやすい

 上記以外に他メーカーの歯ブラシ、また小児用歯ブラシも各種取り揃えてあります。必要な機能とお好みに応じてお勧めしますのでご相談下さい。歯ブラシ以外の歯間ブラシ、デンタルフロス(糸ようじ)などの補助清掃用具、義歯洗浄剤や洗口剤なども販売しておりますのでご相談ください。

お勧めの歯磨き剤について

歯磨き剤は、次の商品をお勧めします。

クリンプロ 
 フッ素とリン酸、カルシウムの結晶体を配合してう蝕を防ぎ、再石灰化を促します。

ジェルコートF 
 フッ素が再石灰化を促進し、クロルヘキシジンが細菌を抑制し歯周病を防ぎます。
 発泡剤と研磨剤がないので、しっかりブラッシングができます。

システマSP-Tジェル 
 殺菌成分が細菌を死滅させ、ビタミンEが歯肉を活性化します。

システマα 
 殺菌成分が細菌を死滅させ、トラネキサム酸が歯肉の炎症を抑えます。

デント.チェックアップ
 フッ素が再石灰化を促進し、低発泡で長時間ブラッシングに適しています。

デント.チェックアップこども 
 フッ素が再石灰化を促進し、低発泡、低香味(ストロベリーとアップル)で子供に人気です。

ブリリアントモア 
 着色を落として白く輝く歯にします。

ハイザック 
 歯周病を防ぎ、口臭を抑えます。

シュミテクト 
 虫歯でないのに歯がしみる知覚過敏を抑制します。

 

虫歯になる条件

虫歯になる4つの条件

むし歯菌

プラークの中に住んでいるミュータンス菌が虫歯をつくります。プラークをなくすためには丁寧なブラッシングが必要です。小学校低学年以下の子供では、本人任せにしないで仕上げ磨きをしてあげてください。高学年以上の子供では時々、歯垢染め出し液で磨き残しがないかを確認することが必要です。歯科医院でブラッシング指導を受けると良いでしょう。

糖質

食べ物の中の糖をミュータンス菌が分解して酸をつくります。この酸に歯が溶かされて虫歯になります。
おやつ、ジュースなど取りすぎていませんか?おやつなどで取る砂糖の量は1日約20グラムが目安です。ケーキ、アイス、コーラ、ポカリスエットなどを1つ取ると砂糖の1日量を超えてしまいます。

歯の質

歯の形や質によって虫歯のなりやすさが違います。溝が深く磨き残しが起きやすい奥歯には歯科医院で予防充填処置(シーラント)を受けると良いでしょう。また、歯の質を良くするために家庭ではフッ素入りの歯磨剤や洗口液を利用、また歯科医院ではフッ素塗布を受けると良いでしょう。

時間

ミュータンス菌が作った酸に歯が接触している時間が長くなると虫歯になります。長い時間をかけておやつやジュースを取るとその時間中、歯が溶かされています。だらだらと飲み食いするのは止めましょう。

 

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