しっかり噛むことの大切さ
2021/07/27
よく噛んでいますか?
良く噛むことには良い効果がたくさんあります。しかし、現代人は昔の人に比べて噛まない習慣がついている人 が多くみられます。その理由として食生活の変化があげられます。食生活の欧米化や、軟らかい食べ物が増えたことにより、よく噛もうとしてもいつの間にか溶けてしまい自然と飲み込んでしまうため、噛む回数が減ってきているのです。また、日頃忙しいサラリーマンやビジネスマンは食事に時間をかけない人が多くいます。噛むという何気ない、当たり前の行動を見直すことで全身の健康作りにも繋がります。
現代の日本人が1度の食事で噛む回数は約 600 回と言われています。600回と聞くと多いように感じますが昔に 比べると減ってきています。江戸時代は 1 度の食事で約 1,400 回、さらに昔の弥生時代の人たちは約 4,000回も噛んでいたそうです。食べ物、食文化の変化の影響もありますが、これほど噛む回数が減ってくると私たちの体に何らかの悪影響が出てきてもおかしくありません。
健康への悪影響
最近では、しっかり噛まないことによるさまざまな健康問題が指摘されています。
・歯並びの悪化
顎がしっかり発達しないため、歯並びも悪くなる
・頭痛肩こり
噛み合わせが悪くなり頭痛、肩こりが引き起こされる
・消化不良
唾液が充分に分泌されないため消化不良をおこしやすくなる
・太りやすくなる
噛まない(早食い)の人は、満腹感を得にくくなり、食べ過ぎてしまう傾向があるので、体重増や血糖値の上昇、腹囲周囲径の増加と関連している
しっかり噛むことによる健康効果
しっかり噛むことによる健康効果を、日本咀嚼(そしゃく)学会が提案しています。
「卑弥呼の歯がいーぜ」
食べ物を噛む回数が多かった弥生時代の卑弥呼にかけて表した標語です。しっかり噛むことは全身の健康作りにとても深い関係があります。そして、次のような効果が期待できます。
「ひ」・・・肥満防止
よく噛んで、ゆっくり食べることで、脳が満腹感を感じて食べ過ぎを防ぐことができます。
「み」・・・味覚の発達
よく噛むことで、食べ物本来の美味しさを感じる事ができ、味覚が発達します。
「こ」・・・言葉の発達
噛むことにより、顔の筋肉が発達すると、言葉を正しく発音できるようになり、顔の表情も豊かになります。
「の」・・・脳の発達
噛むことで、脳細胞の働きが活発になり、集中力がアップしたり老化防止へとつながります。
「は」・・・歯の病気を防ぐ
噛むことで、唾液がでます。唾液には、食べかすや細菌を洗い流す自浄作用があるので、虫歯や歯周病の予防になります。
「が」・・・ガンの予防
唾液の成分には、食べ物の発がん物質の作用を抑える働きがあるといわれています。
「い」・・・胃腸の働きを促進する
よく噛むことによって食べ物が細かく噛み砕かれ、胃腸への負担が軽くなり胃腸の働きを正常に保ってくれます。
「ぜ」・・・全身の体力向上と全力投球
噛む力を育てることによって、歯や顎が鍛えられて全身に力が入るようになり、歯を食いしばって力を発揮させる事ができます。
しっかり嚙むという事は単に食べ物を体の中に取り入れる為ではなく、全身を活性化させるためにも重要な働きをしています。いつまでも自分の歯で美味しく食事を楽しむためにもよく噛むことは大切です。ご家庭でも普段から噛む癖がつくような食材を使ったり、調理法、食べ方などを工夫してみましょう。