唾液のチカラ
2018/12/14
前々回、噛むことの大切さを説明しましたが、今回は、そこでも触れた「唾液」についてもう少し詳しくご紹介します。
唾液の種類は2つ
唾液は、個人差もありますが、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの唾液腺から、一日に1リットル~1.5リットル分泌されるといわれています。その成分の99%以上が水分ですが、その中に有効成分が含まれています。
唾液には、リラックスしているときに出る「サラサラ」した唾液と、緊張しているときに出る「ネバネバ」した唾液の2つがあります。サラサラした唾液は、食べ物を飲み込みやすくし、口腔内を洗浄して中性に保つ働きがあります。ネバネバした唾液は、細菌を絡めとり体内への侵入を防ぎ、口の中の粘膜を守ります。
この2種類がバランスよく働いている状態が理想です。口の渇きを感じ、ネバネバした唾液がでてきたら要注意。水を一杯飲んでリラックスしましょう。
唾液の働き
唾液は食べるための働きや口腔内の健康を守る働きだけでなく、全身の健康を守る働きもあります。具体的には、下記のようなことが挙げられます。
- 〇消化を助ける
- 〇味を感じやすくする
- 〇飲み込みやすくする
- 〇細菌の増殖を抑える
- 〇再石灰化を促す
- 〇口腔内の粘膜を潤す
- 〇体内への細菌の侵入を防ぐ
- 〇活性酵素を分解する
唾液の減少がトラブルを引き起こす
そのため、唾液が減少すると、食べ物が飲み込みづらくなったり、口腔内が汚れやすくなり、虫歯や口臭、歯周病などの原因となります。
飲食後は、口腔内が酸性になり歯の成分が溶け出しますが、唾液の作用により40分ほどで中性に戻します。つまり、唾液は酸によって溶けた歯を修復してくれるのです。これを再石灰化といいます。
唾液はストレスや加齢によっても減少
一般的に、唾液は就寝時に減少するので、自浄作用が低下し口腔内細菌が繁殖しやすくなります。朝起きると、口の渇きやネバつき、口臭が気になるのはそのためです。だからこそ、就寝前と起床後の口腔内ケアが大事なのです。
また、不規則な生活やストレス、喫煙、口呼吸、加齢、薬の副作用などが原因で唾液は減少します。
加齢による唾液の減少については、老化の一つではなく、全身疾患や薬の服用の増加、入れ歯など歯の不具合で噛むことが少なくなることが、原因となります。健康であれば、年齢を重ねても唾液は出るのです。
唾液の量を増やすにはよく噛むことが大切
つまり、唾液の量を増やすには、口の中を健康に保ち、よく噛む習慣をつけることが大切。また、すっぱいものを食べることでも、唾液の分泌量は増えます。
さらに、「サラサラ唾液」の多くは耳下腺で作られるので、奥歯の噛み合っているあたりをマッサージしたり、舌を意識的に動かすことも効果があります。
口腔内、体全体の健康に、唾液は重要な要素となります。まずは、しっかりものを噛める口腔内ケアを意識しましょう。