幼児や小学校低学年の場合には、まず悪習癖がないかを確認します。指しゃぶり、上下の前歯の間に舌を出したり、唇をはさんだりする癖などある場合には止めるよう指導します。唇や舌などの筋のトレーニングや悪習癖を取り除くためのトレーニングを行うこともあります。
小学校3年生ぐらいから中学生頃までは、患者自身によって取りはずしを行う簡単な矯正装置を使って治療します。いくつかある矯正装置の中でも当院でよく使用するのが、インクラインという矯正装置で、寝る前2時間程度と寝ている間に装着します。この装置は使用しているのが家にいる時だけなので他の人に矯正治療をしていることが知られません。この装置を口の中に装着したところ、また装置を側面から見たところを写真で示します。

写真で見ると治療は大変そうに見えますが、子供達はすぐに慣れて使用できます。
次に実際にこの装置だけ使用して治療した患者さんの例を写真で示します。

このようにこの装置は単純な装置ではありますが、非常に効果があることがお判りいただけると思います。成長期を利用して治療を行うことにより、簡単な装置で肉体的、精神的、費用的にも負担が少なく良好な結果が得られることから、早い時期からの矯正治療をお勧めします。 高校生以降になると他の不正咬合の治療でも行われる、個々の歯にブラケットという装置をつけてワイヤーの力を利用して歯の移動を行う治療を行います。
また、最近は40代、50代の成人の方で上顎前突の矯正治療を始められる方が増えています。それは歯周病になったり、奥歯を失ったりすると上顎の前歯が下顎の前歯に突き上げられることにより、上顎前突がさらに進むことにより治療の必要性に迫られるからなのです。上顎前突が進行しないで、自分の歯がしっかりしている間に矯正治療を行うのが望ましいです。